Googleアナリティクスのフィルタとは?設定方法を解説

この記事はユニバーサルアナリティクス(UA)の内容です。

GA4でのフィルタの設定方法は以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
GA4のフィルタを設定する方法|複数のフィルタを設定する際のポイントも解説

Googleアナリティクスは、膨大なアクセスデータを収集、表示してくれます。ですが、時には分析に不要なデータを除いたり、特定のデータのみに絞り込んで表示したい場合があります。そういった場合に役立つのが、Googleアナリティクスのフィルタ機能です。

この記事では、Googleアナリティクスで利用頻度の高いフィルタ設定10種類と、動作確認方法を紹介します。

GA4の基本的なデータの意味、アクセス解析の基本については定期開催のオンラインセミナーで解説しております。GA4を使ったアクセス解析が初めての方はチェックしてみてください。

Googleアナリティクス・サーチコンソールを学ぶ!はじめてのアクセス解析セミナー
目次

Googleアナリティクスのフィルタとは?

Googleアナリティクスのフィルタとは、アクセスデータを特定の条件で絞り込んだり変更したりできる機能で、ビューごとに設定することができます。

自社からのアクセス除外や、データを特定のディレクトリに絞るなど、ビューごとに適切なフィルタを設定することで、目的にあったアクセスデータを確認できるようになります。

Googleアナリティクスのフィルタ機能は便利ですが、使用するにあたり注意する点もあります。

フィルタは過去のデータには適用されない

Googleアナリティクスのフィルタ機能は、過去に取得したアクセスデータには適用されません。フィルタ設定後のアクセスデータにのみ適用されます。そのため、誤ったフィルタを設定してしまうと、後日誤りに気付いて設定を修正したとしても、設定が誤っていた期間のアクセスデータは修正されません。

また、既存のビューに対してフィルタ設定を追加、削除した場合には、その分アクセスデータも増減してしまいます。

基本的にはフィルタを設定、追加、削除する場合には、新しくビューを作成し、そのビューにフィルタを設定するのが確実です。

フィルタのかかっていないビューを保持しておく

Googleアナリティクスのフィルタ機能は、取得したアクセスデータをフィルタするのではなく、取得するアクセスデータをフィルタします。そのため、フィルタリングされて除外されたデータは、フィルタを解除しても確認できなくなってしまいます。

どのようなフィルタを設定するにせよ、フィルタのかかっていない生のデータが確認できるビューを必ず残しておきましょう。

Googleアナリティクス4プロパティにはフィルタがない

2020年11月に正式導入されたGoogleアナリティクス4プロパティには、フィルタがありません。フィルタが利用できるのは、ユニバーサルアナリティクスプロパティのみとなります。

Googleアナリティクス4プロパティでIPアドレス除外やクロスドメイントラッキングを行うには、データフィルタやウェブストリームの設定を変更します。

Googleアナリティクスのフィルタとセグメントとアドバンスフィルタの違い

Googleアナリティクスでデータを絞り込む機能は、フィルタ以外にセグメントとアドバンスフィルタがあります。

ビューに収集するデータを絞り込むのがフィルタ、ビューのレポートに表示する項目を絞り込むのがセグメント、さらに細かく分析するのがアドバンスフィルタ、というイメージです。

これらの細かい違いについて解説します。

絞り込みのタイミング

フィルタはアクセスデータの収集時に動作します。

アクセスデータはフィルタによって絞り込まれたものが収集され、フィルタの範囲外のアクセスデータは保存されません。

セグメントとアドバンスフィルタはアクセスデータの収集後に動作します。

収集したアクセスデータを絞り込んで表示するため、範囲外のアクセスデータは失われません。

適用範囲

フィルタは、既に収集されてしまった、過去のデータには適用されません。

セグメントとアドバンスフィルタは、過去のデータであっても、適用して表示することができます。

Googleアナリティクスのフィルタが追加できない場合

アクセス解析の担当者が一人しかいない場合にはあまり発生しませんが、複数人で管理している場合や、協力会社にアクセス解析を依頼している場合には、特定のメンバーだけフィルタの作成、追加ができない、という場合があります。

このような場合には、そのメンバーの権限を確認してみてください。

フィルタを作成、追加するには、アカウントレベルでの編集権限が必要です。フィルタはビューに対して適用されるため勘違いしがちですが、ビューレベルの編集権限では、フィルタを作成・追加することはできないので注意してください。

Googleアナリティクスのアカウント・プロパティ・ビューの関係性については、以下を参照してみてください。

Googleアナリティクスのフィルタの設定を変更する場合の注意点

アクセス解析を進めていくと、既存のフィルタの設定を変更してデータを取得したくなる時があります。この時、不用意に設定を変えてしまうと別のビューで影響する可能性があるので、注意が必要です。

前述の通り、フィルタはアカウントに紐づいているため、アカウント内の別のビューでフィルタを共用している場合があるからです。変更しようとしているフィルタがどのビューで使用されているかを事前に確認したうえで、フィルタの設定変更を行うようにしましょう。

Googleアナリティクスのフィルタで自社・関係者のアクセスを除外する

アクセス解析を行う上で、自社の人間や協力会社によるテスト目的のアクセスはノイズとなります。

お問合せフォームを改修したところ問合せ件数が激増したが、よく見てみると自社内の人間や協力会社がフォームの動作テストのために行った問合せだった、ということは往々にして起こりうることです。

これらのアクセスをフィルタ機能で除外することで、現実に則したアクセスデータが得られます。

IPアドレスで除外する

IPアドレス除外フィルタの設定

自社や協力会社のIPからのアクセスデータを除外するフィルタは、3ステップで設定できます。

  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. 定義済みフィルタでIPアドレスからのトラフィックを除外する
    「定義済み」⇒「除外」⇒「IPアドレスからのトラフィック」⇒「等しい」と選択します。
  3. 除外するIPアドレスを設定する

自社のIPアドレスの確認方法や、複数のIPアドレスを除外したい場合、逆に特定のIPアドレスからのアクセスのみ集計したい場合は、GoogleアナリティクスのIP除外設定で不要なアクセス計測を除外する方法を確認してみてください。

ホスト名で限定する

ホスト名限定フィルタの設定

テスト環境や開発環境へのアクセスデータを除外するフィルタも、3ステップで設定できます。

  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. 定義済みフィルタで本番環境のホスト名へのトラフィックのみを取得する
    「定義済み」⇒「右のみを含む」⇒「ホスト名へのトラフィック」⇒「等しい」と選択します。
  3. 本番環境のホスト名を設定する

Googleアナリティクスのフィルタで不要なアクセスを除外する

自社やテスト環境のアクセス以外にも、アクセス解析の目線次第で不要になるデータは発生します。

各製品のサイトが、企業サイトのサブディレクトリとして構成されている場合や、会社の部門ごとに確認できるデータを限定したい時などです。

サブディレクトリで限定する

ディレクトリ限定フィルタの設定

特定のディレクトリ以下のデータのみ取得するフィルタは、3ステップで設定できます。

  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. 定義済みフィルタでサブディレクトリへのトラフィックのみを取得する
    「定義済み」⇒「右のみを含む」⇒「サブディレクトリへのトラフィック」⇒「等しい」と選択します。
  3. 取得したいサブディレクトリを設定する

URLを正規表現で限定・除外する

カスタムフィルタのフィルタパターンに正規表現を設定することで、より柔軟なフィルタを作成することができます。

正規表現のOR条件やAND条件を組み合わせることで、複数IPの除外や、複数のサブディレクトリのデータ取得などができるようになります。

Googleアナリティクスのフィルタでスパムを除外する

Googleアナリティクスの参照元を見ていると、見慣れないURLから大量のアクセスがある場合があります。これらは「リファラスパム」と呼ばれるスパムです。

アクセス解析上ノイズとなるうえ、不用意に参照元へアクセスするとウィルスを仕込まれる場合もあります。除外しておきましょう。

フィルタでスパムからの参照を除外する

リファラスパム除外フィルタの設定

参照元でのフィルタリングは、3ステップで設定できます。

  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. カスタムフィルタで特定の参照元を除外する
    「カスタム」⇒「除外」⇒「参照」と選択します。
  3. 除外したいリファラスパムのURLを設定する

リファラスパムのURLが膨大な場合は、「カスタム」⇒「一致」⇒「ホスト名」と選択し、フィルタパターンに自社のURLを設定するのも選択肢の一つです。

not setを除外する

ホスト名だけでは、別URLのスパムに対応できず、いたちごっこになってしまいます。
万全を期すため、言語、ブラウザが「not set」になっているものも除外しましょう。
まずは言語が「not set」のものを除外します。以下の3ステップです。

言語がnot setを除外するフィルタの設定
  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. カスタムフィルタで特定の参照元を除外する
    「カスタム」⇒「除外」⇒「言語設定」と選択します。
  3. フィルタパターンに「not set」を設定する

次に、ブラウザの情報が「not set」のものを除外します。

ブラウザがnot setを除外するフィルタ
  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. カスタムフィルタで特定のブラウザを除外する
    「カスタム」⇒「除外」⇒「ブラウザ」と選択します。
  3. フィルタパターンに「not set」を設定する

Googleアナリティクスのフィルタでパラメータを除外する

クエリパラメータを除外する

LP等では、流入元の把握のため、URL様々なクエリパラメータが付与される場合があります。パラメータを含めて分析したい場合にはそれでよいのですが、ページ自体のアクセス状況を把握するには不便な場合があります。

クエリパラメータをフィルタして計測を行う方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

アンカー形式のキャンペーンパラメータを除外する

カスタムキャンペーンのURL形式には、クエリパラメータの形式とアンカー形式があります。

基本的にはクエリパラメータ形式が使用されますが、場合によってはアンカー形式でカスタムキャンペーンのURLを作成することもあるでしょう。

アンカー部分をフィルタして計測を行う方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

GoogleアナリティクスのフィルタでURLの末尾を統一する

パラメータ違い以外でも、同じページでも、サイトのつくりによっては計測されるURLが異なってしまう場合があります。「index.html」の表示有無や、URL末尾の「/」の表示有無などです。

フィルタ機能を使うことで、これらの表記ゆれを吸収することができます。

フィルタで「/index.html」を「/」に統一する

index.htmlを/に統一するフィルタ設定

フィルタ機能で「index.html」を置換する方法は、以下の3ステップです。

  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. カスタムフィルタでリクエストURIの検索と置換を設定する
    「カスタム」⇒「検索して置換」⇒「リクエストURI」と選択します。
  3. 検索文字列と置換後文字列を設定する
    検索文字列に「index.html」を、文字列の置換に「/」を記載します。

フィルタで「/foo/」を「/foo」に統一する

フィルタ機能でURL末尾の「/」を削除する方法は、以下の3ステップです。

  1. フィルタ名を設定する
    任意の名前で構いませんが、どういうフィルタか分かりやすい名前を付けるのが望ましいでしょう。
  2. カスタムフィルタでリクエストURIの検索と置換を設定する
    「カスタム」⇒「検索して置換」⇒「リクエストURI」と選択します。
  3. 検索文字列と置換後文字列を設定する
    検索文字列に「/$」を、文字列の置換には何も記載しません。

Googleアナリティクスのフィルタの動作確認

前述の通り、フィルタを設定すると、除外されたデータはそのビューから破棄されるため、フィルタが意図したとおりに動いているかどうかは入念に確認する必要があります。フィルタの動作確認方法としては、大きく2つあります。

テストコンテンツがフィルタされるか確認する

フィルタの適用範囲にテストコンテンツを配置し、意図したとおりに除外されているかどうかを確認します。アクセスデータが実際に確認できるようになるには数日かかるため、リリース前など準備期間がしっかりとれる状況で実施する方法です。

リアルタイムレポートでフィルタ状況を確認する

Googleアナリティクスのリアルタイムレポートを表示しながら、自分でアクセスしてフィルタ状況を確認します。確認結果がリアルタイムでわかる一方、同じタイミングでアクセスしているほかの人がいた場合には、自分のアクセスなのか他人のアクセスなのかが分からなくなってしまうリスクがあります。

Googleアナリティクスのフィルタが正しく動作しない場合のチェックポイント

フィルタの動作確認をしてみたものの、正しく動作していないように見える場合には、フィルタの設定を見直すことはもちろんですが、以下のような観点でもチェックしてみてください。

見ているデータの期間を確認する

フィルタは設定以降のアクセスデータに適用されるため、過去のデータには適用されません。フィルタの動作確認を行ったアクセスデータの期間が過去のものになっていないか、確認してみてください。

フィルタの適用順序を確認する

フィルタはランクが高い順に適用されていきます。そのため、フィルタを適用する順番によっては、意図したアクセスデータが取得できなくなってしまう可能性があります。特に正規表現を使用してURLを置換するようなフィルタを使っている場合に発生しやすいので、設定されているフィルタを上から順に実施していくと何が起こるのか、一つ一つ順番に確認してみてください。

Googleアナリティクスのフィルタの使い方と動作確認のまとめ

Googleアナリティクスのフィルタ設定について、目的に応じた10種類のフィルタ設定の方法と、フィルタ設定の確認方法をご案内しました。

フィルタ機能は便利ですが、不可逆な性質を持っています。「フィルタの一切かかっていないビュー」を用意しておくことだけは忘れないようにしましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次