GA4のIP除外設定で不要なアクセス計測を除外する方法
- 2020.05.11
- Googleアナリティクス
- ビュー
こんにちは、アクセス解析&SEO分析ツール「アナトミー」開発チームの江頭です。
Googleアナリティクスで関係者からのアクセスを除外するには、IPアドレス除外フィルタを設定します。
アクセスデータに関係者が含まれていると、正確なページビュー数やコンバージョン数が分からなくなり、サイトの分析に支障が出てきます。IPアドレス除外フィルタを設定し、Googleアナリティクスから信頼できる数値が取り出せるようにしましょう。
この記事では、Googleアナリティクスで特定IPアドレスからのアクセスを除外する設定を解説します。また、IPアドレスの確認方法、「特定IPアドレスからのアクセスに限定」したビューの作り方も紹介します。
IPアドレスとは?
IPアドレスは、インターネット上の「住所」を表すものです。
一般に、オフィスからインターネットアクセスした場合、送信元のIPアドレス(グローバルIPアドレス)は、企業や事業所ごとに割り当てられた固有のアドレスになります。
そのため、IPアドレスでアクセスを除外すると、事業所・会社単位でアクセス除外されることになります。
IPアドレスには、1.2.3.4のような数字を「.」で区切った形式(IPv4)と、2001:1ab9:7012:0000:0000:a8e1:0270:3734のように「:」で区切った形式(IPv6)の2種類があります。一般には、IPv4形式がよく使われています。
IPアドレスを確認する方法
まず、自分が利用しているIPアドレスの確認方法を紹介します。
以下のツールを利用して、グローバルIPアドレスを確認してください。
GoogleアナリティクスでIP除外に使用できるのは、グローバルIPアドレスだけです。ローカルIPアドレス(192.168.xxx.xxxや172.16.xxx.xxx~172.31.xxx.xxx、10.xxx.xxx.xxx)では除外できません。
IPアドレス除外の設定手順(Googleアナリティクス4プロパティ)
IPアドレス除外の設定手順は、Googleアナリティクス4プロパティ(以下、GA4プロパティ)と、従来型のユニバーサルアナリティクスプロパティとでは異なります。
まずは、GA4プロパティの設定手順を紹介します。次のような流れになります。
- 「内部トラフィックの定義」を設定する
- 「データフィルタ」で内部トラフィック除外をテストモードに設定する
- 関係者のアクセスが内部トラフィックとして判定されたかを確認する
- 「データフィルタ」で内部トラフィック除外を有効化する
内部トラフィックの定義でIPアドレスを設定する
まずはデータストリームで内部トラフィックを定義します。
- 管理ツールを開き、プロパティ列を選択します。
- [データストリーム]メニューを選択し、ウェブストリームをクリックします。

- ウェブストリームの詳細画面で、[タグ付けの詳細設定]を選択します。
![ウェブストリームの詳細画面で[タグ付けの詳細設定]を選択](https://blog.siteanatomy.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
- [内部トラフィックの定義]を選択します。

- [作成]ボタンをクリックします。

- 「ルール名」にオフィスの場所などの名前を入力し、IPアドレスを入力します。IPアドレスが1つの場合は、マッチタイプを「IPアドレスが次と等しい」を選んでください。作成ボタンをクリックすると、内部トラフィックルールが作成されます。

次のように、内部トラフィックルールが作成されました。

「データフィルタ」で内部トラフィック除外をテストモードに設定する
内部トラフィック除外のテストをするため、[データ設定]-[データフィルタ]メニューを選択し、Internal Trafficフィルタの現在の状態が「テスト」になっていることを確認します。

データフィルタのトラフィック除外ルールを誤って設定した場合、正しい設定に戻しても、過去のデータを取り戻すことはできません。そのため、内部トラフィックの除外は必ずテストするようにしてください。
関係者のアクセスが内部トラフィックとして判定されたかを確認する
データフィルタをテストモードに設定すると、内部トラフィックからのアクセスは、ディメンション「テストデータのフィルタ名」が「Internal Traffic」として記録されます。
そこで、リアルタイムレポートで内部トラフィックが正しく判定されたかどうかを行われたかどうかをリアルタイムレポートで確認します。
- リアルタイムレポートを開き、[比較を追加+]をクリックします。

- 比較の作成画面で、ディメンションを「テストデータのフィルタ名」に、ディメンションの値を「Internal Traffic」に設定し、[適用]ボタンをクリックします。

- ユーザー数やページタイトルなどから、関係者のみが内部トラフィックとして判定されていることを確認します。

データフィルタの設定変更が反映されるには、2~3時間ほどかかります。
「データフィルタ」で内部トラフィック除外を有効化する
内部トラフィックの判定が確認出来た後は、データフィルタの内部トラフィックフィルタを有効化します。

数時間後、設定が有効化されます。
IPアドレス除外の設定手順(ユニバーサルアナリティクスプロパティ)
ユニバーサルアナリティクスプロパティ(従来のプロパティ)で、特定IPアドレスからのアクセスを除外するには、ビューにIPアドレス除外フィルタを設定します。
除外したいIPが1つだけの場合と、複数ある場合で手順が異なります。
除外したいIPアドレスが1つだけの場合
以下の手順で、フィルタを設定します。
- Googleアナリティクスの管理画面を開きます。
- 設定を変更するビューを選択します。
- ビュー列にある「フィルタ」メニューを選択します。
- 「+フィルタを追加」をクリックします。
- 「フィルタ名」に任意の名前(例:自社IP除外)を入力します。
- フィルタの種類で「定義済み」を選択します。
- 左から順に「除外」「IPアドレスからのトラフィック」「等しい」を選択します。
- IPアドレス欄に除外したいグローバルIPアドレス(ex. 123.45.67.89 )を入力します。
- [保存]ボタンをクリックします。

除外したいIPアドレスが複数存在する場合
以下の手順で、フィルタを設定します。
- Googleアナリティクスの管理画面を開きます。
- 設定を変更するビューを選択します。
- ビュー列にある「フィルタ」メニューを選択します。
- 「+フィルタを追加」をクリックします。
- 「フィルタ名」に任意の名前(例:自社IP除外)を入力します。
- フィルタの種類で「カスタム」を選択します。
- 「除外」ラジオボタンを選択します。
- フィルタフィールドは「IPアドレス」を選択します。
- フィルタパターンを ^(IPアドレス|IPアドレス|IPアドレス|・・・)$ という形式で記述します。なお、IPアドレスの「.」は「.」に置き換えて記述します。
- [保存]ボタンをクリックします。

フィルタパターンにはスペースを含めないようにしてください。
除外フィルタの確認方法
Googleアナリティクスのリアルタイムレポートを開き、該当サイトにアクセスして確認します。自分がアクセスしたとき、[リアルタイム]-[コンテンツ]レポートで検出されなければOKです。
また、スマホなどを使って、オフィス外からのアクセス時に、Googleアナリティクスに記録が行われているかも同時に確認しておきましょう。
追加したIP除外フィルタは、すぐには反映されません。実際に反映されるまでに10分程度かかることに注意してください。
他のビューとのフィルタ共有
Googleアナリティクスで作成したフィルタは、特定のビューに関連付けられるものではなく、他のビューと共有して使えます。「+フィルタを追加」ボタンをクリックした後、「既存のフィルタを使用」で利用したいフィルタを選択すると、他のビューでも同じフィルタが使えます。
GoogleアナリティクスのIPアドレス限定ビューを作成する
IPアドレス除外フィルタを設定すると、関係者のアクセスがGoogleアナリティクスで計測されないようになります。すると今度は、Googleアナリティクスで設定変更したあとの動作確認ができず、困ってしまいます。
そこで、IPアドレス除外フィルタの設定と同時に、IPアドレス限定フィルタを設定したビューを作成しましょう。関係者のみのビューがあれば、動作確認もやりやすくなります。
関係者用ビューを作成する
ビューは新規作成するのではなく、既存のビューをコピーする方法が設定漏れも防げて簡単です。既存のビューで[ビューの設定]メニューを選び、「ビューをコピー」ボタンをクリックすると、複製できます。

限定したいIPアドレスが1つだけの場合
以下の手順で、フィルタを設定します。
- Googleアナリティクスの管理画面を開きます。
- 設定を変更するビューを選択します。
- ビュー列にある「フィルタ」メニューを選択します。
- 「+フィルタを追加」をクリックします。
- 「フィルタ名」に任意の名前(例:自社IP限定)を入力します。
- フィルタの種類で「定義済み」を選択します。
- 左から順に「右のみを含む」「IPアドレスからのトラフィック」「等しい」を選択します。
- IPアドレス欄に限定したいグローバルIPアドレス(ex. 123.45.67.89 )を入力します。
- [保存]ボタンをクリックします。
限定したいIPアドレスが複数存在する場合
以下の手順で、フィルタを設定します。
- Googleアナリティクスの管理画面を開きます。
- 設定を変更するビューを選択します。
- ビュー列にある「フィルタ」メニューを選択します。
- 「+フィルタを追加」をクリックします。
- 「フィルタ名」に任意の名前(例:自社IP限定)を入力します。
- フィルタの種類で「カスタム」を選択します。
- 「一致」ラジオボタンを選択します。
- フィルタフィールドは「IPアドレス」を選択します。
- フィルタパターンを
^(
IPアドレス|
IPアドレス|
IPアドレス|
・・・)$
という形式で記述します。なお、IPアドレスの「.」は「.」に置き換えて記述します。 - [保存]ボタンをクリックします。
フィルタパターンにはスペースを含めないようにしてください。
GoogleアナリティクスでスマートフォンのIPアドレスは除外できない
スマートフォンの場合、定期的にIPアドレスが変わるため、IPアドレスを特定して除外することができません。ただアプリを使うことでスマートフォンのIPアドレスを除外できます。iPhoneだとAdFilter、AndroidだとSleipnirMobileをチェックしてみてください。

広告ブロックの中に、アクセス解析ブロックという項目があります。これをONにするとスマホから自社サイトにアクセスしても計測されないようになります。

その他、Googleアナリティクスアプトアウトというプラグインを選択すると、スマホから自社サイトにアクセスしても計測されないようになります。
リモートワーク環境でのIPアドレス除外
在宅勤務やロケーションフリーでの業務を行っているとIPアドレスが固定化されないため、そもそもIPアドレスでの除外がうまくできません。
そのような場合は、Googleアナリティクスをオプトアウトし、情報を送信しないようにする方法があります。
Googleアナリティクスオプトアウトアドオンは、Chrome、Edge、Safari、Firefoxに対応しています。
なお、Chrome拡張機能の設定で、オプトアウトする対象サイトを限定することもできます。

まとめ
Googleアナリティクスでアクセス解析を行う前に、正しいデータが計測されているかを確認することは大切です。IPアドレスでの除外設定は、自社だけでなく、開発会社や広告運用会社などの関連企業も忘れないようにしましょう。
また、GoogleアナリティクスにはIPアドレス除外以外にも、見逃しやすい設定があります。次のセミナーでも詳しく解説しています。
Googleアナリティクス・サーチコンソールを学ぶ!はじめてのアクセス解析セミナー(無料)
アクセス解析は正確なデータ収集から始めましょう。