こんにちは、Webサイト分析ツール「アナトミー」開発チームの新枦です。
Googleアナリティクス4の参照元/メディアで、(direct)/(none)の多さが気になったことはありませんか?
(direct) / (none)はどのサイトにも一定数存在するのですが、(direct) / (none)の割合が多かったり、急増している場合には要注意です。
なぜなら、GA4の設定の不備によって、Google以外の広告やメールからのトラフィックが(direct) / (none)に分類されてしまうことがあるからです。
この記事では、参照元/メディアが(direct) / (none)に分類される11パターンの原因と、その対策について解説していきます。
- 関連記事:Googleアナリティクスとは?
direct/noneとは?
「(direct) / (none)」とは、ダイレクトトラフィックあるいはノーリファラーと呼ばれ、参照元情報を持たないトラフィックを指します。具体的には、URLを直接入力してWebサイトにアクセスした場合や、ブックマークからアクセスした場合がダイレクトトラフィックです。
GA4のレポートでは「集客 > トラフィック獲得」レポートを見ると「セッション参照元/メディア」が(direct) / (none) と表示されていることが分かります。
※レポートに別のディメンションが表示されている場合は、ディメンションを「セッション参照元/メディア」に切り替えることで確認できます。
「セッション参照元 / メディア」に表示されているのは、検索エンジンやメールマガジン、リスティング広告、外部サイトといったトラフィックの発生元です。例えばGoogleの検索結果からの流入なら「google / organic」、フェイスブック広告なら「facebook / cpm」といったように分類されます。
チャネルグループ別で見る場合は、「Direct」チャネルがダイレクトトラフィックを表します。
Googleアナリティクスのチャネルについてはオンラインセミナーでも解説しています。アクセス解析の基本、GA・サーチコンソールの基本についても学ぶことができますので、これからアクセス解析を始める方にもおすすめです。
direct/noneに分類される4パターン
(direct) / (none)が発生するパターンについて、詳しく解説します。
ブラウザでURLを直接入力した場合
アドレスバーにURLを直接入力して、Webサイトに遷移した場合を指します。URLの一部を入力すると、次のように入力候補となるサイトURLが表示されますが、このように入力候補を選択してWebサイトに遷移した場合も(direct) / (none)に分類されます。
ブラウザのブックマークからアクセスした場合
ブックマークからのアクセスは、参照元がないため(direct) / (none)に分類されます。
ブラウザに参照元情報を送信しない設定をしている場合
ブラウザの設定やセキュリティソフト等で参照元情報を送信しない設定がされている場合は、常に(direct) / (none)となります。Googleアナリティクスは、ブラウザから送信されたReferrerヘッダを利用して参照元を判断していますが、Referrerヘッダが送信されないために参照元が計測できないためです。
rel=noreferrerが付与されたリンクからアクセスした場合
外部サイトに張られたリンクに rel="noreferrer"
属性が記述されていると、そのリンクからサイトに流入しても(direct) / (none)と判定されます。
具体的には、以下のようなリンクです。
<a rel="noopener noreferrer" target="_blank" href="https://siteanatomy.com">
アナトミー
</a>
aタグのrel="noreferrer"
属性は、ブラウザにReferrerヘッダを送信させない役割があり、最近はセキュリティ上の懸念から利用頻度が高くなっています。過去にセキュリティ上の懸念から利用を推奨されていた時期があり、使用されるケースが多いという事情があります。現在はブラウザが自動で判断してくれるので、意図があるとき以外は使用しなくても問題ありません。
direct/noneを回避できる7パターン
実は(direct) / (none)に分類される原因は、これまで説明したもの以外に7パターンあります。
ただし、これら7パターンは、キャンペーンパラメータの付与やWebサイトの設定変更、Googleアナリティクスの設定変更などの方法によって、流入元を正しく分類させる対策が可能です。
QRコードからアクセスした場合
QRコードをスマホで読み取ってWebサイトにアクセスする場合も、URL直接入力と同じ扱いになるため、(direct) / (none)に分類されます。
【対策】
QRコードのURLにカスタムキャンペーンパラメータを付与する方法があります(後述)。カスタムキャンペーンパラメータを付与したQRコードを配布すると、そのQRコードからアクセスしたユーザーの参照元・メディアを「directmail / qrcode」のように分類できます。
メールのURLをクリックした場合
受信したメール本文にあるURLをクリックした場合、参照元がないため(direct) / (none)に分類されます。OutlookやThunderbirdといったメーラーを使う場合も、GmailなどのWebメールを使う場合も同様です。
【対策】
QRコードと同じく、URLにカスタムキャンペーンパラメータを付与します(後述)。カスタムキャンペーンパラメータ付きのURLからアクセスしたユーザーの参照元・メディアを「mail / email」のように分類できます。
サイトがSSL対応していない場合
https化されたサイトからhttps化されていないページへ流入すると、参照元は(direct) / (none)となります。トップページ等ランディングの多いページがhttps化されていない場合には(direct) / (none)が多く計測されます。
【対策】
サイトを常時SSL化することで、(direct) / (none)が回避できます。最低でもトップページやランディングページはSSL化しましょう。
クライアント側でリダイレクト処理をしている場合
ランディングページにおいて、meta refreshやJavaScriptのwindow.location
を用いてリダイレクトさせている場合、(direct) / (none)と判定される場合があります。
【対策】
- ランディングページでリダイレクトさせる場合は、サーバー側で行う。
トラッキングコードの設置が漏れている場合
トラッキングコードが設置されていないページにランディングし、そのページ内のリンクからトラッキングコードが設置されている、同ドメインのページに遷移した場合、そのトラフィックは参照元情報を失い、(direct) / (none)となります。
単なるトラッキングコードの設置漏れの他に、同じドメイン内でGoogleアナリティクスの計測対象を限定している場合にも発生する可能性があるので、注意が必要です。
【対策】
- 「サイトコンテンツ」で、PVがあるはずなのに計測されていない(トラッキングコードの設置漏れが起きている)ページがないか確認する。
- ドメイン内でのGoogleアナリティクスの計測対象を確認し、ランディングページが対象から外れていた場合には設定を再検討する。または、計測対象外からのリンクのURLにカスタムキャンペーンパラメータ(→補足2)を付与する。
正しくクロスドメイントラッキングが行われていない場合
ECサイトで、ショッピングカート以降を別ドメインに設置している場合、クロスドメイントラッキングが正しく行われていないと、ショッピングカート側から見た流入元が(direct) / (none)と分類されます。
【対策】
複数のドメインをまたいだサイトの分析をするには、Googleアナリティクスの設定が必要です。以下の記事を参考に、販売サイトとショッピングカートに対し、クロスドメイントラッキングを設定します。
意図しない参照元除外設定がされている
関連サイトだからと言って、適当にすべてのサイトを参照元除外に設定してしまうと、サイト毎にGA4の計測プロパティが異なる場合に(direct) / (none)になってしまいます。
【対策】
関連サイト間でクロスドメイントラッキングを正しく設定している時に参照元除外を設定しましょう。
ダイレクトトラフィックがdirect/noneに分類されないケース
ユーザーの参照元情報は基本的にセッションごとに上書きされます。
例えば、最初のセッションで広告から流入したユーザーが、次のセッションで検索結果から流入した場合、そのセッションの参照元情報は検索結果からの流入になります。
しかし、(direct) / (none)の場合、参照元情報は上書きされません。最初のセッションで広告から流入したユーザーが次のセッションでブックマークしたURLから流入した場合、参照元情報は広告からの流入と記録されます。
direct/noneを防ぐカスタムキャンペーンパラメータについて
Googleアナリティクスでは、カスタムキャンペーンパラメータ(utmパラメータ)という特殊なパラメータが用意されています。これをURLに付与することで、Googleアナリティクスに参照元情報を明示的に与えることができます。
分析結果のURLからはカスタムキャンペーンパラメータは除外されます。
カスタムキャンペーンパラメータは以下の5種類あり、それぞれ役割が異なります。
パラメータ | 説明 |
---|---|
utm_source | 参照元を識別するために付与(必須) |
utm_medium | 参照元のメディアを識別するために付与(必須) |
utm_campaign | 参照元をより細かく区別するために付与 |
utm_term | 有料検索のキーワードを特定するために付与 |
utm_content | 似通ったコンテンツや同じ広告内のリンクを区別するために付与 |
utm_sourceに指定した値が「参照元」に、utm_mediumに指定した値が「メディア」になります。utm_sourceとutm_mediumは必須で、どちらかでも欠けるとカスタムキャンペーンパラメータとして認識されません。この二つのパラメータは必ず設定しましょう。
カスタムキャンペーンの付与例:
https://blog.sitenatomy.com/example.html?utm_source=google&utm_medium=cpc
URLが長くなるのを防ぐには、bitlyなどの短縮URLサービスを使うか、短いURLからキャンペーンパラメータ付きURLへリダイレクトさせるようにします。
direct/noneで流入したページを調べる
ここまでの対策を正しく行ったとしても、計測データ上の(direct) / (none)をなくすことはできません。ブックマークからの遷移や、rel=noreferrerが付与されたリンクからの遷移は避けようがないからです。
参照元不明のユーザーに対する分析を深めるため、どのページに流入してきたかを確認する方法を紹介します。
Webサイト分析ツール「アナトミー」で確認する
Webサイト分析ツール「アナトミー」とは、GA4とサーチコンソール(SC)データを簡単に確認できるツールです。ここでは、無料プランから利用できるダッシュボード機能で(direct) / (none)を調べる方法を紹介します。
サイト全体の(direct) / (none)を調べる
サイト全体の(direct) / (none)を調べるには、ダッシュボードという機能のドメインレポートを使用します。この機能では、重要な指標をグラフ化してくれるため、増減の変化を簡単に見つけることができます。
各ページの(direct) / (none)を調べる
各ページの(direct) / (none)は、ダッシュボードのPVランキング機能を使用します。こちらの機能では、サイト内でPV数が多い上位20ページをランキング形式で確認できます。
※有料プランのdashboard PLUSでは上位100ページまで
Googleアナリティクスで確認する
- レポート内の「集客」>「トラフィック獲得」メニューを選択します。
- 「ユーザーの最初のメインのチャネル グループ」から「セッションの参照元 / メディア」に変更する。
- 「セッション参照元/メディア」の上にある検索ボックスに (direct) を入力します。
- 「セッション参照元/メディア」の右隣にある「+」ボタンをクリックし、「カスタム」>「page_location」を選択します。
これで、(direct)/(none)のランディングページが表示されます。
流入ページを確認したとき、特定のページに集中して流入がある場合には、そのページの他の情報を深堀りしてみると、(direct) / (none)の原因が分かるかもしれません。
たとえば、昔からあるページで、現在でも通用する技術情報のようなページであれば、他のサイトからのnoreferrer付きリンクや、ブックマークに起因する(direct) / (none)の可能性があります。
まとめ
この記事では、参照元が存在するのに(direct) / (none)に分類されるケースと、正しく計測するための対策について解説しました。
集客には広告やメルマガ等コストも工数もかかるため、正確な計測が必要です。しかし実際には、Googleアナリティクスやサイトの不適切な設定・設計によって、集客情報が正しく取れていないケースがよくあります。Googleアナリティクスで(direct) / (none)が水増しされていないか、よく確認しましょう。
GA4の基本的なデータの意味、PV数の分析方法については「Googleアナリティクス・サーチコンソールを学ぶ!はじめてのアクセス解析セミナー」で解説しています。
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