クロスドメイントラッキング時でも異なるサイトへの遷移数を計測する方法

Googleアナリティクス4(GA4)では、拡張計測機能に「離脱クリック」を計測する機能があります。この機能は、現在のドメインから異なるドメインに遷移する場合に、離脱クリックイベントとして自動で記録され、どのリンクを何回クリックして離脱したかが分かるようになっています。言い換えれば、別ドメインにどれくらい遷移したかを知ることができます。

単一のサイトを運用・計測している時は特に問題が無いのですが、複数の異なるドメインのサイトをクロスドメイントラッキングで運営している場合に、ここで大きな問題が発生します。ここでは、その問題の詳細と解決方法を解説します。

目次

クロスドメイントラッキング時の離脱クリックの問題

この離脱クリックイベントは、クロスドメイントラッキング時はクロスドメイン対象の現在とは別のドメインへのリンクをクリックしても、「離脱クリック」イベントは発生しません。これは拡張計測機能の設定ページにも明記されています。

GA4の拡張計測機能の離脱クリック

クロスドメイントラッキング時の参照元URLの問題

遷移を知る手段としてGA4には「参照元URL」というディメンションがあります。しかし、この参照元URLはブラウザがページ遷移時に自動で送信している「リファラ」を元に記録しています。そのため、以下の図のように同一ドメイン内のページを遷移する分には、問題なく正しくリファラが送信されます。

リファラがちゃんと送られているイメージ

リファラがちゃんと送られているイメージ

しかし異なるドメイン(サブドメインを含む)に遷移する際には、現在主流の各ブラウザは詳細なリファラを送信しません。またサーバーの設定や、リンクタグに「noreferrer」の指定がされていると、リファラ自体を送信しなくなります。

リファラがちゃんと送られていないイメージ

リファラがちゃんと送られていないイメージ

そうすると、遷移先の別ドメインから「参照元URL」を見ても詳細なパス情報が欠落しており、多くが遷移元ドメインのトップページから遷移してきたように見えてしまいます。

クロスドメイントラッキングを止めた場合

クロスドメイントラッキングを止めると、遷移元のページから、離脱クリックイベントとして、クリックしたURLが分かるようになります。ただし、ドメインが異なるためCookieも変わってしまい、同一のGA4プロパティでもセッション、ユーザー、イベントが2つのドメイン間で別々にカウントされるようになります。複数のサイトにまたがってコンバージョンを計測している場合は、ランディングとコンバージョンの紐づけができなくなり、計測に支障が出てしまいます。

クロスドメイントラッキングを使いつつ、ドメイン間の遷移も記録する

クロスドメイントラッキングを使いつつ、ドメイン間の遷移を記録するには自前で記録用のイベントを設定する必要があります。方法はいくつかありますが、ここは比較的簡単に設定できる、Googleタグマネージャー(GTM)を使って記録する方法を紹介します。計測対象のリンクの種類は、Aタグのhref属性を指定した一般的なリンクを対象とします。

1.     GTMで変数を作成

GTMのトリガーを作る際に必要な変数を作成していきます。GTMの「変数」画面で以下の設定を行います。

クリックしたリンクのホスト名

クリックしたリンクのホスト名を参照するための変数を作成します。以下のようなユーザー定義変数を作成します。

ユーザー定義変数の作成方法

※URLソースで指定しているClick URLが組み込み変数に無い場合は、組み込み変数の設定から有効にしてください

別ホストのリンククリック

現在のホスト(≒ドメイン)と異なるホストのリンクをクリックしたかの判定のための変数を作成します。

異なるホストのリンクをクリックしたかの判定のための変数の作成方法

2.     GTMでトリガーを作成

遷移のクリックイベントを送信するためのトリガーを作成します。GTMの「トリガー」画面で新規のトリガーを作成します。

この例では、「example1.jp」と[example2.jp]という2つのドメイン(ホスト)間の遷移を計測する場合の例です。

遷移のクリックイベントを送信するためのトリガーの作成方法

3.     GTMでタグを作成

最後に配信するタグを作成します。この例では、既存の拡張イベント「離脱クリック」と同じパラメータを送信する例です。厳密には離脱クリックとは異なるのですが、離脱クリックイベントに合わせておくと、GA4の探索などで既存のディメンションを利用できるので、新たにカスタムディメンションを作成する手間が省けます。このイベントとパラメータを送信してもGA4上では離脱扱いにはなりません。

配信するタグの作成方法

※最後のgtm_extendはGTMで作成した独自のイベントだという事を識別できるようにするためのパラメータです。無くても構いません

4. 追加した設定を公開

GTMのプレビューで作成した内容が正しく動いているかを確認後、公開します。これでクロスドメイントラッキングを設定していても、探索レポートなどからドメイン間の遷移を計測することが可能になります。

最後に

複数のドメインを使ってサイトを運営することはよくあるので、クロスドメイントラッキングが以前(ユニバーサルアナリティクス時代)より簡単にできるようになっているのがGA4のいい点なのですが、逆に遷移情報が追えなくなってしまっているのが困った点です。この設定は一度行ってしまえば、以降対象サイトが増えない限りは手を加える必要がありませんので、ぜひ試してみてください。

また、今回の解説内容で設定を行うと、WEBサイト分析ツールアナトミーでも、ドメイン間の遷移情報が視覚的に表示され、分析がしやすくなります。

アナトミーではページ・サイト間の遷移だけではなく、そのページが獲得している検索キーワード、各種流入チャネルからどれくらい流入しているか、過去のアクセス数の推移なども画面遷移することなく全て見る事ができます。

無料で使い続けられるdashboardプランのほかに、現在は有料プランの無料トライアルも受け付けていますので、一度お試しください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次