GA4の(direct)/(none)とは?11個の原因と対策
- 2019.04.08
- Googleアナリティクス
- 分析
こんにちは、Webサイト分析ツール「アナトミー」開発チームの新枦です。
Googleアナリティクスの参照元で、(direct)/(none)の多さが気になったことはありませんか?
(direct) / (none)はどのサイトにも一定数存在するのですが、(direct) / (none)の割合が高かったり、急増している場合には要注意です。
なぜなら、アナリティクスの設定の不備によって、広告やメールからのトラフィックが(direct) / (none)に分類されてしまうことがあるからです。
この記事では、参照元が(direct) / (none)に分類される11パターンの原因と、その対策について解説していきます。
- 関連記事:Googleアナリティクスとは?
direct/noneとは?
「(direct) / (none)」とは、ダイレクトトラフィックあるいはノーリファラーと呼ばれ、参照元情報を持たないトラフィックを指します。具体的には、URLを直接入力してWebサイトにアクセスした場合や、ブックマークからアクセスした場合がダイレクトトラフィックです。
ダイレクトトラフィックは、Googleアナリティクスの「集客 > すべてのトラフィック > 参照元/メディア」レポートでは、参照元/メディアが(direct) / (none)と分類されます。
また、GA4プロパティでは「集客 > トラフィック獲得」レポートを見ると「セッション参照元/メディア」が(direct) / (none) と表示されていることが分かります。

「参照元 / メディア」や「セッション参照元 / メディア」に表示されているのは、検索エンジンやメールマガジン、リスティング広告、外部サイトといったトラフィックの発生元です。例えばGoogleの検索結果からの流入なら「google / organic」、フェイスブック広告なら「facebook / cpm」といったように分類されます。
Googleアナリティクスのチャネル「Direct」も、ダイレクトトラフィックを表します。
- 関連ツール:参照元情報を視覚的に確認する【アナトミー】
direct/noneに分類される4パターン
(direct) / (none)が発生するパターンについて、詳しく解説します。
ブラウザでURLを直接入力した場合
アドレスバーにURLを直接入力して、Webサイトに遷移した場合を指します。URLの一部を入力すると、次のように入力候補となるサイトURLが表示されますが、このように入力候補を選択してWebサイトに遷移した場合も(direct) / (none)に分類されます。

ブラウザのブックマークからアクセスした場合
ブックマークからのアクセスは、参照元がないため(direct) / (none)に分類されます。
なお、ブックマークにURLが登録されているということは、過去にWebサイトにアクセスしたことがあるユーザーです。そのため、Googleアナリティクスでセグメントとして「新規ユーザー」を選択すると、(direct) / (none)にはブックマークからアクセスしたユーザーは含まれません。
ブラウザに参照元情報を送信しない設定をしている場合
ブラウザの設定やセキュリティソフト等で参照元情報を送信しない設定がされている場合は、常に(direct) / (none)となります。Googleアナリティクスは、ブラウザから送信されたReferrerヘッダを利用して参照元を判断していますが、Referrerヘッダが送信されないために参照元が計測できないためです。
rel=noreferrerが付与されたリンクからアクセスした場合
外部サイトに張られたリンクに rel="noreferrer"
属性が記述されていると、そのリンクからサイトに流入しても(direct) / (none)と判定されます。
具体的には、以下のようなリンクです。
<a rel="noopener noreferrer" target="_blank" href="https://siteanatomy.com">
アナトミー
</a>
aタグのrel="noreferrer"
属性は、ブラウザにReferrerヘッダを送信させない役割があり、最近はセキュリティ上の懸念から利用頻度が高くなっています。
target="_blank"
属性を使用したリンクでは、window.opener
詐取攻撃への対処として、rel="noopener noreferrer"
を付与することが推奨されています。
<a>: アンカー要素 – HTML: HyperText Markup Language | MDN
direct/noneを回避できる7パターン
実は(direct) / (none)に分類される原因は、これまで説明したもの以外に7パターンあります。
ただし、これら7パターンは、キャンペーンパラメータの付与やWebサイトの設定変更、Googleアナリティクスの設定変更などの方法によって、流入元を正しく分類させる対策が可能です。
QRコードからアクセスした場合
QRコードをスマホで読み取ってWebサイトにアクセスする場合も、URL直接入力と同じ扱いになるため、(direct) / (none)に分類されます。
【対策】
QRコードのURLにカスタムキャンペーンパラメータを付与する方法があります(後述)。カスタムキャンペーンパラメータを付与したQRコードを配布すると、そのQRコードからアクセスしたユーザーの参照元・メディアを「directmail / qrcode」のように分類できます。
メールのURLをクリックした場合
受信したメール本文にあるURLをクリックした場合、参照元がないため(direct) / (none)に分類されます。OutlookやThunderbirdといったメーラーを使う場合も、GmailなどのWebメールを使う場合も同様です。
【対策】
QRコードと同じく、URLにカスタムキャンペーンパラメータを付与します(後述)。カスタムキャンペーンパラメータ付きのURLからアクセスしたユーザーの参照元・メディアを「directmail / qrcode」のように分類できます。
サイトがSSL対応していない場合
https化されたサイトからhttps化されていないページへ流入すると、参照元は(direct) / (none)となります。トップページ等ランディングの多いページがhttps化されていない場合には(direct) / (none)が多く計測されます。
【対策】
サイトを常時SSL化することで、(direct) / (none)が回避できます。最低でもトップページやランディングページはSSL化しましょう。
クライアント側でリダイレクト処理をしている場合
ランディングページにおいて、meta refreshやJavaScriptのwindow.location
を用いてリダイレクトさせている場合、(direct) / (none)と判定される場合があります。
【対策】
- ランディングページでリダイレクトさせる場合は、サーバー側で行う。
トラッキングコードの設置が漏れている場合
トラッキングコードが設置されていないページにランディングし、そのページ内のリンクからトラッキングコードが設置されている、同ドメインのページに遷移した場合、そのトラフィックは参照元情報を失い、(direct) / (none)となります。
単なるトラッキングコードの設置漏れの他に、同じドメイン内でGoogleアナリティクスの計測対象を限定している場合にも発生する可能性があるので、注意が必要です。
【対策】
- 「サイトコンテンツ」で、PVがあるはずなのに計測されていない(トラッキングコードの設置漏れが起きている)ページがないか確認する。
- ドメイン内でのGoogleアナリティクスの計測対象を確認し、ランディングページが対象から外れていた場合には設定を再検討する。または、計測対象外からのリンクのURLにカスタムキャンペーンパラメータ(→補足2)を付与する。
クロスドメイントラッキングが行われていない場合
ECサイトで、ショッピングカート以降を別ドメインに設置している場合、クロスドメイントラッキングが正しく行われていないと、ショッピングカート側から見た流入元が(direct) / (none)と分類されます。
【対策】
複数のドメインをまたいだサイトの分析をするには、Googleアナリティクスの設定が必要です。以下の記事を参考に、販売サイトとショッピングカートに対し、クロスドメイントラッキングを設定します。
リファラスパムの場合
上記のような対応をすでに行っているにもかかわらず、(direct)/(none)が急増している場合、リファラスパムが原因の可能性があります。
リファラスパムとは、悪質なサイトへの誘導を目的として行われる不正アクセスのことです。具体的には、Referrerヘッダに不正サイトのURLを含めたアクセスを行うなどの方法により、Googleアナリティクスに悪質なサイトへのURLが記録されます。
Googleアナリティクスに不要なデータが紛れ込んでしまうため、正確なデータが分からなくなってしまいます。
【対策】
リファラスパムは言語設定やホスト名が「(not set)」なので、これらを除外するフィルタを設定することで、対応することが可能です。
詳しい設定方法は後述します。
ダイレクトトラフィックがdirect/noneに分類されないケース
ユーザーの参照元情報は基本的にセッションごとに上書きされます。
例えば、最初のセッションで広告から流入したユーザーが、次のセッションで検索結果から流入した場合、そのセッションの参照元情報は検索結果からの流入になります。
しかし、(direct) / (none)の場合、参照元情報は上書きされません。最初のセッションで広告から流入したユーザーが次のセッションでブックマークしたURLから流入した場合、参照元情報は広告からの流入と記録されます。
direct/noneを防ぐカスタムキャンペーンパラメータについて
Googleアナリティクスでは、カスタムキャンペーンパラメータ(utmパラメータ)という特殊なパラメータが用意されています。これをURLに付与することで、Googleアナリティクスに参照元情報を明示的に与えることができます。
分析結果のURLからはカスタムキャンペーンパラメータは除外されます。
カスタムキャンペーンパラメータは以下の5種類あり、それぞれ役割が異なります。
パラメータ | 説明 |
---|---|
utm_source | 参照元を識別するために付与(必須) |
utm_medium | 参照元のメディアを識別するために付与(必須) |
utm_campaign | 参照元をより細かく区別するために付与 |
utm_term | 有料検索のキーワードを特定するために付与 |
utm_content | 似通ったコンテンツや同じ広告内のリンクを区別するために付与 |
utm_sourceに指定した値が「参照元」に、utm_mediumに指定した値が「メディア」になります。utm_sourceとutm_mediumは必須で、どちらかでも欠けるとカスタムキャンペーンパラメータとして認識されません。この二つのパラメータは必ず設定しましょう。
カスタムキャンペーンの付与例:
https://blog.sitenatomy.com/example.html?utm_source=google&utm_medium=cpc
URLが長くなるのを防ぐには、bitlyなどの短縮URLサービスを使うか、短いURLからキャンペーンパラメータ付きURLへリダイレクトさせるようにします。
Googleアナリティクスでリファラースパムを除外する方法
Googleアナリティクスでリファラースパムを除外するフィルタを設定します。
リファラースパムからのリクエストは、Googleアナリティクス側でホスト名が(not set)と判断されるので、ホスト名が(not set)を除外します。

Googleアナリティクスの管理画面を開き、ビュー列のフィルタをクリックし、次の手順でフィルタを登録します。
- [新しいフィルタを作成]を選択します。
- フィルタ名に任意の名前を入力します。
- 左から順に「除外」「ホスト名へのトラフィック」「等しい」を選択します。
- ホスト名に(not set)を入力し、保存します。
このフィルタは(direct) / (none)の対策だけでなくアクセスデータ汚染の対策にもなるので、(direct) / (none)の増加にかかわらず設定しておくとよいでしょう。
その他のリファラスパム対策は、以下の記事を参考にしてください。
direct/noneで流入したページを調べる
ここまでの対策を正しく行ったとしても、計測データ上の(direct) / (none)をなくすことはできません。ブックマークからの遷移や、rel=noreferrerが付与されたリンクからの遷移は避けようがないからです。
参照元不明のユーザーに対する分析を深めるため、どのページに流入してきたかを確認する方法を紹介します。
アナトミーで確認する
Webサイト分析ツール「アナトミー」のタイルビューでは、1ページを1つのタイルで表現しています。合わせて、各チャネルごとにタイル分けもされているので(direct) / (none)で流入してきたユーザーがどのページに流入したか簡単に確認できます。

青いタイルがチャネルのタイルで、緑色のタイルがページタイルです。緑色のタイル上の赤字は流入してきた数になります。上記の例だと、(direct) / (none)からの流入数は368だと分かります。
また、「動線一覧」機能を使えば、ページを一覧で確認でき、尚且つ流入数が多い順に並び替えることができます。

上記の画像だと「東京ロードバイクレンタル ライドアウェイ|多摩川サイクリングロード|中野島(川崎)〜立川」というページに、(direct) / (none)から106流入している事が分かります。
Googleアナリティクスで確認する
Googleアナリティクス4プロパティの場合
- [集客]-[トラフィック獲得]メニューを選択します。
![GA4プロパティの[集客]-[トラフィック獲得] レポート](https://blog.siteanatomy.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
- 「セッション参照元/メディア」の上にある検索ボックスに (direct) を入力します。
![[集客]-[トラフィック獲得] レポートで(direct)に絞り込み](https://blog.siteanatomy.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
- 「セッション参照元/メディア」の右隣にある「+」ボタンをクリックします。

- [カスタム(イベントスコープ)]-[page_location]を選びます。

これで、(direct)/(none)のランディングページが表示されます。

- 関連ツール:流入先が視覚的に分かる【アナトミー】
ユニバーサルアナリティクスプロパティの場合
「参照元/メディア」レポートで (direct) / (none)を選び、「セカンダリディメンション」の中から「ランディング ページ」をクリックします。

(direct) / (none)で流入してきたユーザーの流入元ページが一覧でわかります。

セカンダリディメンションに設定する指標を「デバイス カテゴリ」に変更すると、(direct) / (none)で流入してきたユーザーのデバイスが分かります。
スマホやタブレットからの流入が突出して多かった場合には、アプリからの流入時のカスタムパラメータがうまく設定されていないのかもしれません。改めて確認してみるとよいでしょう。
流入ページを確認したとき、特定のページに集中して流入がある場合には、そのページの他の情報を深堀りしてみると、(direct) / (none)の原因が分かるかもしれません。
たとえば、昔からあるページで、現在でも通用する技術情報のようなページであれば、他のサイトからのリンクや、ブックマークに起因する(direct) / (none)の可能性があります。
まとめ
この記事では、参照元が存在するのに(direct) / (none)に分類されるケースと、正しく計測するための対策について解説しました。
集客には広告やメルマガ等コストも工数もかかるため、正確な計測が必要です。しかし実際には、Googleアナリティクスやサイトの不適切な設定・設計によって、集客情報が正しく取れていないケースがよくあります。Googleアナリティクスで(direct) / (none)が水増しされていないか、よく確認しましょう。