GA4のセグメントとは|作成方法・フィルタとの違いを解説
Googleアナリティクス4プロパティでは、膨大なアクセスデータを収集、表示してくれます。時には、ユーザーの属性でグループ分けをしたり、特定のセッションでグループ分けを行いたい場合があります。そういった場面で役立つのが、セグメント機能です。
この記事では、セグメントの種類の違いや基本的な設定方法を解説します。
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GA4のセグメントとは
「セグメント」とは、特定の属性や条件をグループ分けする機能です。例えば、コンバージョンに至ったユーザーがどのページを見ていたのかを調べたい場合や特定の地域のユーザーの行動を調べたい場合にセグメント機能を活用します。
セグメントとフィルタの違い
セグメントとフィルタには大きく2つの違いがあります。
適用範囲の違い
セグメントは特定の属性や条件をグループ分けするのに対して、フィルタはキャンバスに表示するデータを制限する機能です。例えば、キャンバスにサイトのトップページ( / )だけの情報を表示させたい場合にフィルタ機能を活用します。
また、1つのデータ探索内で複数の分析を行う際、セグメントは保存できるので全てのタブに適応できます。そのため、毎回フィルタに設定するものを予めセグメントで作成する場合があります。
- セグメントの場合
- フィルタの場合
表示できるデータの違い
セグメントは、作成したセグメントごとのデータをキャンバス上に表示します。例えば、以下の画像のように新規とリピーターのデータを同時に確認できます。
フィルタを使用した場合は絞り込んだデータのみを表示するため、複数の条件のデータを並べて表示したい場合はセグメントを使用します。
セグメントの機能について
セグメントは「データ探索ツール」でしか利用できない機能です。セグメントを作成する際には、事前に用意されているフォーマットの「おすすめのセグメント」を選ぶか、1から条件を設定する「カスタムセグメント」を使用します。
※現在GA4上の表記は「おすすめのセグメント」ではなく、「参照を使用する」に変更されています。
おすすめのセグメント(参照を使用する)
おすすめのセグメントでは、既に用意されたフォーマットをそのまま使用できます。また用途に合わせてパラメータや別の条件を追加できます。例として全般タブの「最近のアクティブユーザー」のテンプレートを見てみます。
- GA4にログインしたらサイドバーの「探索」を選択する
- データ探索の中から「空白」を選択する
※既にデータ探索を作成している場合は、画像の青枠内から「任意のデータ探索」を選択してください。
- 「変数」パネル内のセグメントの「+」ボタンを選択する
- 「参照を使用する」パネル内の「最近のアクティブユーザー」を選択する
設定されている条件を確認してみると「user_engagement」というイベントを発生させたユーザーがアクティブユーザーと定義されていることが分かります。
※厳密には、「 user_engagement 」に付随するパラメータ「engagement_time_msec」が存在することが条件です。
上記以外のアクティブユーザーとなる条件やエンゲージメントについては下記記事にて詳しく解説しています。
- 参照元:[GA4] ユーザーに関する指標を理解する (アクティブユーザーの定義)
- 参照元:[GA4] 自動収集イベント (発生のタイミングの情報)
「おすすめのセグメント」の全般タブにあるセグメントは、既に条件が設定されているのでそのまま利用することができます。必要に応じて新しく条件を追加して利用することも可能です。
※テンプレートタブにあるセグメントは条件の値を入力するだけで利用できます。
それでは、条件の追加方法を解説します。
- 「パラメータを追加」を選択する
- イベントパラメータの「その他」を選択する
- その他内の「イベント数」を選択する
イベント数を選択すると条件の値と期間を設定することができます。
ここでは、「7日間のうちユーザーエンゲージメントを5回起こしたユーザー」という条件を指定します。
- 条件は「任意の演算子」と「数値」を選択する
※ここでは「5回起こしたユーザー」と設定しました。 - 「期間」の設定をONにする
- 「期間」を選択する
※ここでは期間を「7日間」と設定しました。 - 「適用」を選択する
適用させると設定画面の右側の「サマリー」に抽出したユーザー数とセッション数が表示されます。
サマリーを確認して問題なさそうであれば、「セグメントの名前」と「説明文」を入力して「保存」を選択してください。
おすすめセグメントの基本的な操作説明は以上となります。
次に「カスタムセグメント」について解説します。
カスタムセグメント
カスタムセグメントでは、1から条件を指定してセグメントを作成できます。作成する際は、3つのセグメントのタイプから使用用途に適したものを選択します。
次に3つのタイプの解説をします。
ユーザーセグメントについて
ユーザーセグメントでは、ユーザーの属性や行動に基づいてグループ分けを行います。例えば、年齢やCVに達成したユーザー、地域などのユーザ属性でグループ分けを行います。
グループ | 例 |
---|---|
年齢 | 20~25歳、35~39歳、40~49歳 、etc… |
CVをしたユーザー | お問い合わせ、購入、予約 、etc… |
地域 | 日本、韓国、アメリカ、etc… |
セッションセグメントについて
セッションセグメントでは、特定のセッション内で行われた操作をグループ分けします。例えば、あるユーザーがサイトにn回(n=1,2,3,…)訪問したとします。ここでセグメントの条件を「1回のセッションでページA,D,Eを見たユーザー」と指定した場合、このユーザーの情報からは2回目の情報が抽出されます。
イベントセグメントについて
イベントセグメントでは、特定のイベントでグループ分けを行います。例えば、「予約という該当のイベントのみのデータを抽出する」という条件でセグメントを作成した場合、以下の青枠の発生した該当のイベントのみでグループ分けされます。
カスタムセグメント作成方法
ここでは、カスタムセグメントの作成方法を解説します。例として「fun2ride.rideaway.bike」というドメイン名のサイトと「mypage.rideaway.bike」というドメイン名のサイトを見たユーザーのセグメントを作成します。その際に「/login/」というページパスを含むページから来たユーザーを除外するとします。
まず始めに、データ探索ツールにアクセスし、データ探索を作成します。
- 変数パネルのセグメントの「+」ボタンを選択する
- カスタムセグメント内の「任意のタイプ」を選択する
※ここではセッションセグメントを選択しています。
- 「新しい条件を追加」選択する
- 「任意のイベント」を選択する
※ここではディメンションの「ホスト名」を選択しました。
- 「フィルタを追加」を選択する
- 条件を追加する
- 「適用」を選択する
2つのサイトを見たユーザーでグループを作成したいので「AND」ボタンを選択します。
※「どちらかのサイトを見た」という条件の場合は「OR」を選択してください。
同様に「mypage.rideaway.bike」の条件を追加し、「除外するグループの追加」から「/login/」というページパスにアクセスしたユーザーを除外します。
最終的に設定した条件は以下の通りです。
おすすめセグメント同様、画面右側の「サマリー」に抽出したユーザー数とセッション数が表示されます。
サマリーを確認して問題なさそうであれば、「セグメントの名前」と「説明文」を入力して「保存」を選択してください。
カスタムセグメントのオプションについて
セグメントを設定するうえで「いずれかの時点で」や「シーケンス」などのオプション機能を利用することでより複雑な条件を設定することができます。
いずれかの時点で
「いずれかの時点で」というオプションはユーザセグメントのみで使用することができます。フィルタを追加する際に「いずれかの時点で」を選択するチェックボックスが出てきます。
このオプションを選択している場合、データ抽出期間内に条件を満たしたことがあるユーザーをセグメントに含めます。オプションを選択していない場合は、 データ抽出期間内の最終訪問の情報が条件と一致したユーザーをセグメントに含めます。 例えば、データ抽出期間を7/1~7/15、条件を「日本からサイトにアクセスしたユーザー」とします。
ここで、あるユーザーの訪問情報が以下の画像のようになっていたとします。
この場合、「いずれかの時点で」を選択していると、このユーザーの情報は7月3日に条件を満たしているのでセグメントに含まれます。
「いずれかの時点で」を選択していない場合、最終訪問の情報は韓国なので条件に一致しません。そのため、セグメントに含まれません。
シーケンス
シーケンスは特定の順序で発生したユーザーの行動を指定したいときに使用します。例えば、「ページAからページCへ」といった特定ページ間の遷移を条件にデータ分析を行いたい場合に利用します。また、「いずれかの時点で」と同じく「ユーザーセグメント」でのみ使用できるオプションです。
- カスタムセグメントの「ユーザーセグメント」を選択する
- 「含めるシーケンスを追加」を選択する
- ステップ1の「条件」を追加する
- 「フィルタ」を追加する
- 「ステップを追加」を選択する
ステップ2以降も同じように条件とフィルタを設定していきます。
基本操作は以上ですが、シーケンスにはステップのタイプと時間を指定することができます。
間接的ステップと直接的ステップ
ステップを追加する際に、そのステップが1つ前のステップの直後に来たか来ていないかを設定できます。
「間接的ステップ」では、該当ページ間に別のページが含まれていた場合でも情報を抽出し、「直接的ステップ」では該当ページの1つ前が設定したステップでないと情報を抽出しません。
ステップ時間
ステップの時間は全体と各セクションに適用できます。
ステップの時間を適用すると、設定した時間内に指定したステップを踏んだユーザーの情報が抽出されます。以下の画像は「設定したステップを5分以内に行ったユーザー」の情報を抽出するように設定しました。
除外するグループを追加
「除外するグループを追加」では言葉の通り、除外したい条件を指定できます。例えば、サイト内にあるCVに繋がりそうなページやユーザーに見て欲しいページを除外して、そのページを見ていないユーザーのセッションを抽出できます。
次に除外機能の追加手順を解説します。
- イベントを追加する
※ここでは「ホスト名」を選択しました。 - 条件を追加する
※「rideaway.bike」というドメイン名をもつサイトを指定しました。 - 「除外するグループを追加」を選択する
- 除外する条件を追加する
※ここではページパスの「/lineup」を含むページを除外するセグメントを作成しました。
フィルタを適用すると画面右側の「サマリー」に抽出したユーザー数とセッション数が表示されます。
サマリーを確認して問題なさそうであれば、「セグメントの名前」と「説明文」を入力して「保存」を選択してください。
また、除外の機能では「一時的に除外」か「完全に除外」かを選ぶことができます。「一時的に除外」では指定した期間内で条件を満たしたデータを除外し、「完全に除外」では指定した期間に関係なく全てのデータからその条件を除外します。
セグメントで利用できるオプションは以上になります。
まとめ
この記事ではセグメントの仕様や利用方法を解説しました。使い回すような条件や複雑条件を設定する場合にセグメントを利用することで分析がしやすくなります。
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