探索レポートはGoogleアナリティクス4(GA4)から新たに追加されたレポートで、基本レポートよりも高度な分析が可能になります。この記事では、 GA4の探索レポートの基本的な使い方と活用方法をご紹介します。
本記事の内容は、セミナー(無料)化して定期開催してます。実際のツール画面を操作しながら解説し、セミナー最後には演習問題があります。こちらも是非、ご活用ください。
GA4の「探索」レポートとは
探索レポートは、自由にレポートを作成できる機能でユニバーサルアナリティクス(UA)のカスタムレポートやデータポータルの探索と近い機能です。
探索レポートを使用することにより、基本レポートでは見れないデータを確認することができたり、並び替えたりフィルタやセグメントを使用して絞り込みできたりします。これらを利用することにより、目標を確認するための定点観測レポートの作成や施策実行後の対策計測が容易に行えるようになります。
他にも、レポートを共有や保存できたり、8種類のフォーマットが選べたり1つの探索レポートで複数のタグが使用できたりするため、頻繁に同じデータを見る必要がある場合にはかなりの時間短縮に繋がります。
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探索レポートの8つの手法
自由形式
自由形式ではデフォルトで「市区町村」「デバイス」別の「アクティブユーザー数」のデータが表の形式で表示されます。
探索レポートでは見たいデータ項目を自由にカスタマイズすることが可能です。初めて探索レポートを使う方は、まず自由形式のレポートで基本的な操作に慣れていくのが良いと思います。
ファネルデータ探索
ファネルデータ探索ではユーザーがコンバージョンを達成するまでの経路、ステップを確認することができます。 各ステップをビジュアルに表示できるため、コンバージョンまでの経路でどのページがボトルネックになっているのかを確認することができます。 またステップには任意のページだけでなく、動画の再生やクリックといったイベントを設定することもできます。
経路データ探索
経路データ探索ではサイト内のユーザーの動き、遷移をツリーグラフで確認することができます。 UAの行動フローのレポートに近い機能で、「サイトへ来たユーザーが2ページ目に多く遷移するページ」や「特定のページへどのような経路で遷移していきたか」を確認することができます。
セグメントの重複
セグメントの重複では選択した複数のセグメントの重複や関係性を確認することができます。上記の図ではサイトにアクセスしたユーザーのうち「検索からサイトへ来たユーザー」「サービスの詳細ページを閲覧したユーザー」「会員登録したユーザー」といったセグメントを重ねて表示しています。 表示するセグメントは自身で設定することができ、最大3つまで重ねて表示することができます。
- 関連ツール:素早く各ページのデータが分かる【アナトミー】
ユーザーエクスプローラー
ユーザーエクスプローラーではユーザー個別のデータを確認することが出来ます。表示される「ユーザーID」をクリックすることで、そのユーザーが起こしたイベントの詳細を発生時間と共に確認することができます。
コホートデータ探索
コホートとは共通の属性を持つユーザーグループのことです。コホートデータ探索では初めてサイトへアクセスした日/週ごとにユーザーをグループに分けており、グループごとにその後再度サイトへアクセスしているのか、つまり「ユーザーの維持率」を確認することができます。
ユーザーのライフタイム
ユーザーのライフタイムでは一回の訪問での行動だけでなく、その後の行動を含めた価値、つまりライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を評価することができます。 再購入が多いユーザーを獲得できている参照元やエンゲージメント時間が最も長い参照元を確認することができます。
空白
「空白」はその名の通り、デフォルトで指標やディメンションなどが設定されていない形式です。探索レポートに慣れてきて、必要なデータが明確になっている場合はこちらの形式でレポートを作成していくことが多くなると思います。
探索レポートの基本的な使い方
ページ別のPV数(表示回数)を表示する
探索レポートに慣れるために、まず最初にページ別のPV数(表示回数)を表示してみましょう。基本が分かりやすいように今回は「空白」の形式で解説していきます。
GA4にアクセスしたら、左側のメニューから「探索」を選択し、表示された画面の「空白」を選択します。
探索レポートの画面は大きく2つのエリアに分かれており、
左側のエリアで表示するデータの種類や期間などを設定すると、右側のエリアにそのデータが表示されるという仕組みになっています。
変数の設定
まず、最初に「変数」の項目を設定していきます。
「変数」では「レポートの名称」「データの期間」と使用する「セグメント」「ディメンション」「指標」を設定します。
- 「ディメンション」の「+」をクリックします。
- 「ページ/スクリーン」>「ページパスとスクリーンクラス」を選択します。
- 「インポート」をクリックするとレポートのディメンションの項目に「ページパスとスクリーンクラス」が追加されます
- 次に「指標」の「+」をクリックします。
- 「ページ/スクリーン」>「表示回数」を選択します。
- 「インポート」をクリックするとレポートの指標の項目に「表示回数」が追加されます。
「レポートの名称」と「データの期間」については任意の値を設定してください。
データ保持期間の設定によっては2ヶ月以上前の期間を選択できないことがあります。データ保持期間の設定変更については下記記事を参照ください。
今回は「セグメント」を使用しないので変数の設定は以上になります。GA4のセグメントの機能については下記記事で紹介しております。
表示項目の設定
次にインポートした「指標」と「ディメンション」をレポートに表示するための設定を行います。
「設定」の下部にある「値」の「+」をクリックして「表示回数」を選択します。
値を選択すると右側のエリアに表示回数が表示されます。
この状態だとサイト全体(GAの計測対象全体)の表示回数となっているので、ディメンションを追加して値をページごとに分割していきます。
「設定」の「行」の「+」をクリックして「ページパスとスクリーンクラス」を選択します。選択すると、右側のエリアにページパス別の表示回数が表示されます。ページパスと併せて、タイトルを表示したい場合は「ページタイトルとスクリーンクラス」をインポートし、行に追加しましょう。
特定のページのデータに絞り込みたいときには「設定」の最下部にある「フィルタ」で「ページパスとスクリーンクラス」の条件を指定しましょう。
また、複数ホストのデータが含まれている場合はディメンションに「ホスト名」を追加し、行に追加するか、フィルタで絞り込みましょう。
探索レポートでは、このように使用する「指標」と「ディメンション」をインポートし、表示項目として設定することでデータを表示することができます。
まだ慣れていない時は上記の手順と同じように、まず「値」を指定してから、どのようにその値を分割していくか考えていくと分かりやすいと思います。
また表示されるデータの行数はデフォルトでは「10行」になっているので、より多くのデータを表示する場合は「設定」の中にある「表示する行数」を変更しましょう。
探索レポートの活用方法
ここからは良く使う探索レポートとその設定方法を解説します。基本操作については上記のセクションで解説していますので、設定項目を中心に解説していきます。
次のページ(2ページ目)への遷移
サイト内の特定のページから次にどのページへ遷移しているのかを確認するための設定を解説していきます。
「空白」を使う方法(表形式)
探索レポートの画面で「空白」を選択します。
- 「ディメンション」に「ページの参照元URL」「ページパスとスクリーンクラス」「ページタイトルとスクリーンクラス」をインポートします。
- 「指標」に「表示回数」をインポートします。
- 「値」に「表示回数」を設定します。
- 「行」に「ページの参照元URL」「ページパスとスクリーンクラス」「ページタイトルとスクリーンクラス」を設定します。
ここまでの設定で「ページ参照元URL」から「ページパスとスクリーンクラス」に表示されているURLへの遷移数を表示することができます。
次に、フィルタを設定し、「ページ参照元URL」を特定のページに絞り込みます。
- 「設定」の下部にある「フィルタ」の「+」をクリックします。
- 「ディメンション」の項目にある「ページの参照元URL」を選択します。
- 「マッチタイプ」を「次と完全一致」にし、「式を入力」に絞り込みたいページのURLを入力し、「適用」を選択します。(今回はサイトのTOPページである「https://www.rideaway.bike/」を指定しています。)
フィルタの設定により、サイトのTOPページから次にどのページへ遷移しているかを表示することができます。項目が多くて見づらい場合は、行から「ページ参照元URL」を削除しましょう。項目を削除してもフィルタは解除されないので、遷移先のページパス、タイトル、遷移数のみを表示することができます。
「経路データ探索」を使う方法
次に経路データ探索を使った遷移データの確認方法を解説します。
①探索レポートの画面で「経路データ探索」を選択します。
②デフォルトの状態ですと「ステップ+1」に「イベント名」が設定されているので、こちらをクリックしてください。
③「ページタイトルとスクリーン名」を選択してください。
④セッションの多い順にページのタイトルが表示されるので、遷移を見たいページをクリックします。
⑤選択したページからのユーザーの遷移先と遷移数を確認することができます。上記の図だと「多摩川レンタサイクル」(TOPページ)から「クロスバイク・ロードバイクの一覧」のページに130遷移していることが分かります。
⑥表示データの「性別」「国」「デバイスカテゴリ」などの内訳を確認するには、画面左側にある「ディメンション」から内訳を表示したい項目をドラック&ドロップしましょう。
特定のページの流入数(閲覧開始数)とその流入元の内訳
変数
ディメンション | ページパスとスクリーンクラス、セッションのデフォルトチャネルグループ |
指標 | 閲覧開始数 |
表示項目
行 | ページパスとスクリーンクラス 、セッションのデフォルトチャネル |
値 | 閲覧開始数 |
フィルタ | 「 ページパスとスクリーンクラス 」を「完全一致」で任意のページを指定 |
上記の設定で特定ページの流入元の内訳を表示することができます。複数ページを表示したい場合などはフィルタの条件を調整してみてください。
CV数とCVに貢献した流入元
変数
ディメンション | イベント名、セッションのデフォルトチャネルグループ |
指標 | コンバージョン |
表示項目
行 | イベント名、セッションのデフォルトチャネルグループ |
値 | コンバージョン |
上記の設定のままですと複数のCVが混ざった状態で表示されてしまうので、「設定」の中にある「ネストされた行」を「Yes」に変更するとCVごとのデータに切り替えることができます。
探索レポートの保存・共有方法
保存方法に関しては、自動保存のため特に対応は不要です。
プロパティ内のユーザーへの共有方法
プロパティに属するユーザーへデータを共有するためにはレポートの右上にある共有ボタンをクリックします。
共有ボタンをクリックするとモーダルが表示されるので「共有」をクリックします。
これでプロパティに属する全ユーザーがレポートを見ることができるようになります。
プロパティ外のユーザーへの共有方法
プロパティ外のユーザーにはGA4の画面上でレポートを共有することができないため、データを共有する際はいずれかの形式でエクスポートする必要があります。
画面右上にある「エクスポート」をクリックするとファイル形式が表示されるので、任意の形式を選択しましょう。
まとめ
GA4の探索レポートを使用することで基本のレポートだけでは見ることができないデータを確認することができるようになります。
慣れるまでは難しい部分もあると思いますが、使いこなすことで普段のアクセス解析業務の時間短縮に繋がりますので是非使ってみて下さい。