GA4でカスタムディメンションを作成すると、GA4のデフォルトで用意されているディメンション(データ属性)にはない独自のディメンションを追加・計測できます。サイト固有のディメンションを利用することで、自身のサイトに適した分析が可能になります。
この記事では、GA4のカスタムディメンションの概要と使い方を紹介します。
カスタムディメンションとは
GA4のカスタムディメンションは独自のデータ属性を追加設定し、計測できる機能です。
GA4では、「ページ単位」や「デバイス別」といったデータ属性を決めて、そのデータ属性の「イベント数」や「表示回数(PV数)」といった指標をレポートに表示します。
公式ヘルプ:[GA4] アナリティクスのディメンションと指標
上記の公式ヘルプにない独自のデータ属性を追加したい場合にカスタムディメンションを設定します。
カスタムディメンションには3つのスコープがあり、どういうデータを扱うのかによってスコープが決まります。
- ユーザースコープ:会員ランク、購入頻度のようなユーザーに関連する独自の属性を追加する場合
- イベントスコープ:押されたボタン、選択された項目のようなユーザーが取った行動に関連する独自の属性を追加する場合
- アイテムスコープ:色、サイズ、セール品かどうかのような購入する商品に関連する独自の属性を追加する場合
公式ヘルプ:[GA4] カスタム ディメンションとカスタム指標について
カスタムディメンションの使い方と設定方法
カスタムディメンションを設定するためには、取りたい情報を独自のイベントとしてGA4に送信する必要があります。
取得したい情報によってはGoogleが推奨しているイベントで解決する場合があるので、まずは以下の公式ヘルプにあるイベントを使って、ディメンションを作成します。
公式ヘルプ:[GA4] 推奨イベント
カスタムディメンションを使うには、以下の手順で行います。
- カスタムディメンションをGA4に登録する
- トラッキングコードをパラメータを送信する
- GA4のレポートでカスタムディメンションを利用して分析する
カスタムディメンションをGA4に登録する
カスタムディメンションの登録は、GA4の設定画面で行います。
- 「管理」タブ内の「カスタム定義」メニューを選択します。
- 「カスタムディメンションを作成」ボタンをクリックします。
- 以下の4つの項目を入力します。
- ディメンション名(任意の名前。※日本語可)
- 範囲(任意のスコープ)
- 説明(任意)
- パラメータ名(トラッキングコードから送信されxるパラメータ)
- [保存]ボタンをクリックします。
以上で、カスタムディメンションが登録されました。
トラッキングコードでパラメータを送信する
Webページにトラッキングコードを設置し、パラメータを送信します。
イベントスコープで利用するパラメータの場合、イベントを送信するトラッキングコードを記述します。
<script>
gtag('event', '<イベント名>', {
'<パラメータ>': '<値>'
});
</script>
一度に複数のパラメータを送ることもできます。
<script>
gtag('event', '<イベント名>', {
'<パラメータ1>': '<値1>',
'<パラメータ2>': '<値2>',
'<パラメータ3>': '<値3>'
});
</script>
一方、ユーザースコープで利用するパラメータの場合、次のようなトラッキングコードを記述します。
<script>
gtag('set', 'user_properties', {
'<パラメータ>': '<値>'
});
</script>
カスタムディメンションの設定例
閲覧された記事のカテゴリ・執筆者・公開日:イベントスコープ
人気のあるブログ記事を分析するためにカスタムディメンションを利用します。
たとえば、閲覧された記事のカテゴリや執筆者・公開日をそれぞれカスタムディメンションに登録します。
ディメンション名 | スコープ | 説明 | パラメータ |
---|---|---|---|
post_category | イベント | 閲覧された記事のカテゴリ | category |
post_author | イベント | 閲覧された記事の執筆者 | author |
post_published_at | イベント | 閲覧された記事の公開日 | published_at |
会員種別:ユーザースコープ
一般会員とプレミアム会員のように、会員種別をカスタムディメンションとして利用する例です。
会員種別はユーザーレベルの情報なので、ユーザースコープのカスタムディメンションを登録します。
ディメンション名 | スコープ | 説明 | パラメータ |
---|---|---|---|
membership | ユーザー | 会員種別 | membership |
また、会員登録完了ページに、会員種別を送信するトラッキングコードを設置します。
例えば、membershipというパラメータを使う場合は、次のようなトラッキングコードになります。
// 一般会員の場合
gtag('set', 'user_properties', {
'membership': 'general'
});
// プレミアム会員の場合
gtag('set', 'user_properties', {
'membership': 'premium'
});
Googleタグマネージャーでの設定
GA4の代わりに、Googleタグマネージャー(GTM)でパラメータを送信することもできます。
記事閲覧イベントを例にして、設定方法を紹介します。
データレイヤーへの情報送信
まず、WebページにJavaScriptコードを記述し、記事閲覧イベントに必要な情報をデータレイヤーへ送信します。
キー event がイベント名を表します。
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
dataLayer.push({
'event': 'view_post',
'category': 'Search Console',
'author': 'YAMADA, Hanako',
'published_at': '2021-12-10'
});
</script>
トリガーの登録
次に、データレイヤーから送信されたイベントに反応するトリガーを登録します。
- メニューから[トリガー]を選択し、[新規]ボタンをクリックします。
- トリガー名は任意の名前、トリガータイプは「カスタムイベント」を選択、イベント名は view_post を入力します。
- [保存]ボタンをクリックします。
変数の登録
次に、データレイヤーに送信された情報のうち、GA4に送信する情報を変数として登録します。
- メニューから[変数]を選択し、ユーザー定義変数の[新規]ボタンをクリックします。
- 変数名は任意の名前、変数のタイプは「データレイヤーの変数」を選択、データレイヤーの変数名は category を入力します。
- [保存]ボタンをクリックします。
タグの登録
次に、GA4へイベントを送信するためのタグを登録します。
- メニューから[タグ]を選択し、[新規]ボタンをクリックします。
- タグ名は任意の名前、タグの種類は「Googleアナリティクス:GA4 イベント」、測定IDは該当のデータストリームの測定ID、イベント名は view_postを入力します。
- イベントパラメータとして、パラメータ名を category、値を「閲覧された記事のカテゴリ」用に登録した変数を選択します。
- トリガーは記事閲覧用に登録したイベントを選択します。
- [保存]ボタンをクリックします。
カスタムディメンションの分析
カスタムディメンションは、「レポート」タブと「探索」タブどちらでも確認できます。
レポートで確認する
- GA4にログイン後、「レポート」タブを選択
- エンゲージメント内の「イベント」を選択
探索で確認する
GA4で作成したカスタムイベントは「ディメンション」の+ボタンから追加・分析でき、Googleタグマネージャーで作成したカスタムディメンションは「セグメント」から確認できます。
たとえば、「閲覧された記事のカテゴリ」を行や列に追加してレポートを表示できます。
まとめ
本記事では、GA4のカスタムディメンションの概要と使い方を説明しました。
一般に、パラメータの分析ができない場合にカスタムディメンションを設定します。
また、カスタムディメンションを登録すると、サイト固有の軸で分析ができるようになります。