Gemini CLIでGA4のMCPサーバーをお手軽に試す手順

少し前にGoogle公式のGA4のMCPサーバーが公開されました。公式でも設定の説明をしていますが、特定以上のPythonのインストールが必要だったり、GitHubからMCPサーバーをチェックアウトしたりと、非エンジニアの方が実際に使うまでのハードルが少し高いように感じます。

この記事では自分のマシンではなく、Google Cloud上のGemini CLIを使ったGA4のMCPサーバーとの連携を行い、実行できるまでを最小限のステップで実現するための方法を解説します。

既にGoogle Cloudのプロジェクトを持っている場合は、GA4のAPIを有効にするからご覧ください。


生成AI(Gemini)とMCPサーバーを使って、AIに分析を任せる新しい方法をご紹介します。

  • 10/22(水) 13:00~13:45
  • 参加費:無料

目次

Google Cloudにアクセスと規約の同意

初めてアクセスする場合は、以下のURLにアクセスします。

https://console.cloud.google.com/welcome/new?hl=ja

初回アクセス時は以下のような利用規約の同意ポップアップが表示されるので、利用規約の同意にチェックを入れ、「同意して続行」をクリックします。

無料トライアルの開始

規約の同意が完了すると、以下のような画面が表示されます。「無料トライアルを試す」を選択します。

アカウント情報の確認が表示されるので、「同意して続行」を選択します。

連絡先情報・お支払方法(カード情報)を入力し、「無料で利用開始」を選択します。

料金について

本記事で解説する範囲は基本的に全て無料で試せます。(2025/10/7時点)
Google Cloudのシステム上、月初に請求メールが届きますが請求額は0円です。

アンケートの入力

初回はアンケートを聞かれます。 何を選んでもいいと思いますが、この解説では「概念実証を作成する」と「AIモデルにアクセスする」を選びます。

完了ボタンを押します。

GA4のAPIを有効にする

現在ブラウザでログインしているGoogleアカウントが1つの場合は以下のURLから有効化できます。

https://console.cloud.google.com/apis/library/analyticsdata.googleapis.com
https://console.cloud.google.com/apis/library/analyticsadmin.googleapis.com

複数ログインしている場合は、ログインユーザーが変わってしまう可能性があるので以下の手順でアクセスします。

Google Analytics Data API、Google Analytics Admin APIを有効にする

左上のメニューから「APIとサービス」>「ライブラリ」を選択します。

※環境によって「APIとサービス」のメニュー項目の位置がスクリーンショットと異なる場合があります

以下のページが表示されます。上部中央の検索ボックス「APIとサービスを検索」に「Google Analytics Data API」と入力して検索します。

検索結果から「Google Analytics Data API」を選択します。

以下の画面が表示されるので、「有効にする」をクリックします。

同じように、メニューから「APIとサービス」>「ライブラリ」を選び、APIとサービスを検索に「Google Analytics Admin API」と入力します。以下の検索結果からGoogle Analytics Admin APIを選んで、同じように有効にします。

Cloudシェルを有効にする

どの画面でもいいので、画面上部右側にある「」をクリックします。

画面下部からCloudシェルが表示されます。

ポップアップが表示されるので「続行」を選択します。

Cloudシェルへの認証権限の付与のポップアップが表示されるので「承認」を選択します。この承認ポップアップは、一定期間ごとに出てきます。

Cloudシェルが起動し、タブ(ターミナル)が2つ表示されます。

1つは通常のCloudシェルのタブで、もう1つがGemini CLI用のタブです。Gemini CLI用のタブは不要なので、✕をクリックして閉じても構いません。
※Gemini CLIは設定完了後に改めて起動させます

GA4へのアクセス許可設定

GeminiがMCPサーバーを通じてGA4のプロパティにアクセスするには、該当プロパティにアクセスが可能なGoogleアカウントで許可をする必要があります。ここでのアクセス許可には大きく2種類あります。

  1. このCloudシェルのセッション中のみ有効な許可を付与(別セッションになった時は再度許可する)
  2. Google Cloudでサービスアカウントを作成し、そのアカウントにGA4のアクセス権限を与えて、永続的なアクセス許可を付与

本来は2の方が望ましいのですが、2を設定するには該当GA4プロパティへのアクセス付与権限が必要なのと、追加でサービスアカウントの作成・ロール設定が必要で、人によってはすぐには試せない可能性があります。以上の理由からこの記事では1の方法で解説します。

Googleアナリティクスへのアクセス権限付与

以下の1行をコピーし、Cloudシェルのターミナル上に張り付けてEnterを押下します。
※表示上改行しているように見えますが、改行なしの1行で入力してください。

gcloud auth application-default login --scopes=https://www.googleapis.com/auth/analytics.readonly,https://www.googleapis.com/auth/cloud-platform

以下の内容が表示されるので、Yを押してEnterを押下します。

すると、URLが表示されるので、表示されたURLをクリックしてアクセスします。
注意:ここではまだEnterを押さないでください

新しいタブでGoogleアカウントの選択画面が表示されるので、現在Googleクラウドで使用中のユーザーを選択します。

※もし、現在のユーザーとは異なるGoogleアカウントが持つGA4のプロパティにアクセスする場合は、事前にそのユーザーを「IAMと管理」>「IAM」で追加しておく必要があります。手順の詳細は割愛しますが、必要なロールは「Service Usage 管理者」です。

選択後、画面が切り替わるので全てにチェックを入れて続行をクリックします。

※この許可チェックは初回のみです。2回目以降はチェックが表示されないので、そのまま続行を選んでください

「Sign in to the gcloud CLI」という画面の下に表示される「Copy」ボタンをクリックします。

このタブでの操作はここまでとなります。Cloudシェルのタブに戻って、コピーした文字列を「Once finished, enter the verification code provided in your browser:」の部分に貼り付けてEnterを押下します。

その後、初回だけ次の画像のようなメッセージが表示されるので、yを選択してさらにEnterを押下します。

MCPサーバーのセットアップ

以下の2行のコマンドを1行ずつコピーしてEnterを押下して実行してください。

python3 -m pip install --user pipx
python3 -m pipx ensurepath

次に以下のコマンドをコピーして実行します。

source ~/.bashrc

設定ファイルを作成

以下のコマンドをコピーして貼り付けてEnterで実行します。複数行に分かれていますが、全体をコピーして1回で張り付け・実行してください。

cat << 'EOF' > ~/.gemini/settings.json
{
  "mcpServers": {
    "analytics-mcp": {
      "command": "pipx",
      "args": [
        "run",
        "--spec",
        "git+https://github.com/googleanalytics/google-analytics-mcp.git",
        "google-analytics-mcp"
      ]
    }
  }
}
EOF

Geminiの起動

以下のコマンドを入力・Enterを押下してGeminiを起動します。これまでと同じくコピー&ペースでも構いません。

gemini

しばらくは自動で初期化処理が実行されます。その後、プロンプトの入力が可能になります。

GeminiからGA4の値を参照する

GeminiでGA4の値を参照するには、初回はプロンプト入力時に以下のようにMCPサーバーを指定してプロンプトを入力します。

@analytics_mcp/ 入力したいプロンプト

また、最初はどのプロパティの値を取得するかが分からないので、一緒にプロパティIDも指定します。例えば以下のように入力し、Enterで実行します。

@analytics_mcp/ プロパティID「XXXXX」の先月のPV数は?

※XXXXXは自身のGA4のプロパティIDを入力します
※測定IDとは異なります。数字だけで構成されているIDです
※プロパティIDの確認は、GA4の画面の「管理>プロパティの詳細」から確認できます

geminiを実行した初回セッションでは、以下の画像のように実行していいか聞かれるので、3つ目のMCPサーバへの実行は常に許可を選んでおきます(1~3ならどれでもいいですが、このセッション中毎回聞かれるのは面倒なので3を選びます)。選択肢の移動は、キーボードの矢印キーで上下に移動できます。決定はEnterです。

そうすると、以下のように結果が返ってきます。結果の手前に表示されているのは、GA4のAPI呼び出しの実行結果なので、特に気にしなくてもいいです。

※セッション数については聞いていませんが、この実行時はAIが自動で情報を追加して返してくれました

以降の質問ではプロパティの指定や@analytics_mcp/も不要になり、通常の生成AIとの会話のように続けることができます。

この例では、「先月の自然検索からの総セッション数は?」というようにプロパティIDを指定していません。その結果は以下のようになります。

geminiを終了する場合はCtrl+Cを2回押します。
Cloudシェルを終了する場合は、ターミナル右上の✕をクリックで終了します。


生成AI(Gemini)とMCPサーバーを使って、AIに分析を任せる新しい方法をご紹介します。

  • 10/22(水) 13:00~13:45
  • 参加費:無料

再度Geminiを使ったGA4へのアクセスを再開する

再度Gemini+GA4を試したい場合は、Google Cloudの画面右上にある「」をクリックすると、同じようにクラウドシェルが起動します。

一定時間でCloudシェルの認証情報が無効になるので、再アクセスする際はCloudシェル起動時に再度承認する必要があります。

また、GA4へのアクセス許可設定も再度必要になります。 「Googleアナリティクスへのアクセス権限付与」での手順を再度実行した後、「gemini」と入力してEnterを押下すると、Gemini CLIが起動します。

会話の最初は、@analytics_mcp/ プロパティID「XXXXX」の先月のPV数は? のようにMCPサーバーの指定やプロパティIDの指定を忘れずに入力しましょう。

初回のプロパティIDの指定が面倒な場合

毎回初回セッション時にMCPサーバーの指定やプロパティIDの入力が面倒な場合は、以下のコマンドを貼り付けて実行する事でGemini起動時に自動でGeminiにIDと使用するMCPサーバーを指示する事ができます。
※XXXXXXX には対象のGA4プロパティIDを入れてください
※複数行ありますが、全ての行をコピーして、1度で貼り付けて実行してください

cat << 'EOF' > ~/.gemini/GEMINI.md
- 指定が無い場合の対象のGA4プロパティIDは:XXXXXXXです
- GA4からデータを取得するためのMCPサーバーは「analytics_mcp」です。
EOF

Google Cloud上であれば、自分の環境にPythonなどを導入しなくても気軽に試すことができます。まずはこの方法で生成AI+GA4を使ったアクセス分析を試してみて、本格的に使い続ける場合は手元にしっかりした環境を用意するのが良いでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次